松翁会歯科診療所
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歯周病の治療法
Shouohkai Dental Clinic

歯周病の治療法

標準治療

まず大事なことは自覚症状が顕著に現れる前に歯科医院で定期検診などを行い、歯肉炎の治癒や、歯周炎における歯槽骨や歯周組織の吸収が始まるのを未然に防ぐことが非常に大事になります。
歯周病が発症して進行した場合、とくに重度に進行した場合は、その組織の健全な回復は非常に困難で、再生医療的処置を行わなければ失われた歯槽骨や歯肉は元に戻りません。したがって現状では、歯周病に罹患(りかん)した場合、リスクファクターを改善して歯周病がそれ以上進行しないようにする進行防止治療が標準治療となります。

標準的な歯周病治療の流れは、歯周病の検査後に初期治療として局所因子の改善を行います。主に口腔不衛生の改善を行うのですが、具体的にはブラッシング指導や歯垢、歯石の除去および病原性細菌の駆除です。スケーラーという器具によって歯垢や歯石を機械的に除去し、場合によっては歯周ポケット内の不良な歯肉の一部も除去したりします。その後、抗生物質や消毒薬を貼薬します。

しかし、歯周病の進行状態によっては、初期治療だけでは治癒が見込めない場合も多々あります。
その場合はフラップオペ(歯肉を剥離して歯石や不良な歯肉の除去)などの外科処置や、場合によってはGTR法(破壊吸収された歯槽骨や歯肉などの歯周組織を再生する外科処置)などの再生治療を行ったりします。

これら一連の処置により歯周病が治癒したら、今度は再発および再進行しないようにメンテナンスを行います。
メンテナンスは歯が口腔内に存在し続ける間は一生続けていくものだと考えていただいたほうがよいかと思います。

歯周病の治療に付随させて行わなければならない非常に大切なこととして、免疫力を高めるということがあります。前述したリスクファクターの全身因子と環境因子を改善し克服することです。近年、歯周病を助長させる因子として喫煙、糖尿病、骨粗鬆症、ストレスがよく取り上げられるようになってきましたが、それは次に述べるような報告が数多く出てきたためだと思います。

歯周病と関連があるものについて

喫煙

非喫煙者に比べ、数倍(3倍前後)歯周病になりやすく、発症進行が早いと言われています。
歯周病の進行度のわりに発赤、腫脹などの自覚症状が少ないので気がつきにくいのが特徴です。

糖尿病

免疫機能の低下、コラーゲンの合成抑止、微小血管障害、歯根膜細胞の機能異常、最終糖化産物AGEの炎症性組織破壊といった歯周病を促進させる原因が多いです。
報告者によりますが、2~4倍程度歯周病の発症リスクが高いという報告があります。また、血糖コントロールが不良なほど歯周病が重篤(じゅうとく)なものが多くみられたという報告もあります。

骨粗鬆症

歯周病も骨粗鬆症も骨の吸収が特徴となる疾患なので、その関連性が注目されています。

ストレス

免疫力低下と関係があるといわれています。
またこれとは逆に、歯周病が影響を与えているかもしれないと近年報告または推察されているものに次のようなものがあります。
・糖尿病
・虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)
・誤嚥性肺炎

歯周病患者では、心臓血管系疾患の発症リスクが50~150%程度高いとする報告が多いようです。また、アテローム性血栓症性血管病変に歯周病原性細菌の存在を認める報告もされています。歯周病にかかっている妊婦さんは、早産や低体重児出産の可能性が高くなるという報告もあります。
これらのことから、歯周病を治療し予防することは口腔内だけではなく、全身疾患の治療や予防につながることに注目していただいて、治療に臨んでいただければと切に望むところです。

予後/生活上の注意

歯周病の症状がなくなり、歯肉も引き締まった健康な状態を保つことはできますが、進行した歯周病の場合、破壊吸収された歯周組織を回復することは基本的に不可能になります。

しかし、近年では再生医療の発達に伴い、歯周組織の再生回復がある程度可能になってきました。当院でもエムドゲインと言う薬を用いての再生療法を行っています。歯周病に関して最も大切なことは予防を心がけることです。歯周病は別名「Silent Disease(サイレント・ディジーズ)」といわれるように、自覚症状がなく徐々に進行していきますから、歯周病の発見と予防のためにも、これといった自覚症状がなくても歯科医院を定期的に、最低でも半年に1回は受診して歯周病のチェックを受けることが非常に大切です。

また、全身因子、とくに糖尿病や骨粗鬆症などかかっていないことに越したことはありませんが、すでにかかられている方は担当医師と相談してきちんとコントロールをし、予防をすることです。また環境因子の改善として、喫煙習慣の改善、食生活や栄養バランスの考慮、規則正しい生活、ストレスの発散を常日頃から心がけることなども重要なことです。

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