一歩進んだインプラント
ソケットリフト
ソケットリフトに用いる器具例
ソケットリフトは、デンタルインプラント治療に伴って行われる骨増成手術の一つ。
概要
上顎臼歯部の上部には上顎洞があるが、人により洞底線が下方まで伸びているため、インプラント体埋入に必要な量の骨が確保できない事がある。ソケットリフトはその問題を解決するための骨増成法の一つである。
術式
インプラント埋入予定部位に対し棒形体の器具を槌形体器具で叩く。上顎骨は柔らかいため、叩くことにより骨が上顎洞側に移動し、インプラントを埋入するための高さを獲得する事ができる。場合により人工骨などの充填剤を入れる。
利点
サイナスリフトと比較し外科的侵襲が少ない。
サイナスリフトと比較して処置が簡便で短時間で行うことができる。
欠点
造骨された部分 骨増成できる量がサイナスリフトと比較し少ないため、応用範囲が限られる。
置のため、程度の把握が難しい。
サイナスリフト
サイナスリフト (Sinus-lift procedure) は、デンタルインプラント治療に伴って行われる骨増成手術の一つ。
上顎臼歯部の上部には上顎洞と呼ばれる空洞があるが人により洞底線が下方まで伸びているため、インプラント体埋入に必要な量の骨が確保できない事がある。
サイナスリフトは上顎洞粘膜(シュナイダー膜)を上顎洞から剥離して挙上、その挙上によってできたスペースに人工骨や他部位から採取した自家骨を移植する事により上顎洞底線の位置をあげ、インプラント埋入手術に必要な骨の厚みを獲得する方法である。
応用
インプラントは単独での埋入に加えて下記にあげる用い方もあります。
ボーンアンカードブリッジ
下顎で5~6本、上顎で6~8本のインプラントを用い、セメント等で上部構造を連結固定するブリッジ形態の補綴方法。4本ですべておこなうものを特にall on 4(後述)と呼び近年症例が増えています。
all on 4
無歯顎患者に対し、4本のフィクスチャーで片顎すべての補綴を完了する方法。比較的新しい概念であり、エビデンスならびに臨床データに乏しい。失敗が多いとの報告があり当院では行っておりません。
カンチレバー
上顎洞への近接等インプラントが難しい部位に対し延長ブリッジ(片持梁)の形で上部構造を作成し補綴する方法。インプラントの寿命が短くなると言う意見もあるが通常の埋入と比較して予後に有意差はないという報告もあります。しかし、なるべく避けたい方法と考えています。
ミニインプラント
矯正のアンカーとして用いる補綴目的ではない小さな径のインプラント。直径2mm前後(通常のインプラントは3~5mm前後)。頬側に打ち大臼歯の遠心移動、口蓋に打ち大臼歯部の圧下のそれぞれ固定源として用います。
インプラントを支台にしたオーバーデンチャー
数本のインプラントを支台にし、それの維持力で義歯を固定するもの。下顎で骨吸収が進み義歯が安定させられない際などに有効。
インプラントによるブリッジ
埋入本数を減らす目的、また上顎洞への近接等インプラントが難しい部位を外す目的でインプラントを支台にしたブリッジをおこないます。天然歯との連結、ブリッジは近年の治験では禁忌であるがインプラント同士であれば問題ないとされています。